ベルギー・ブリュッセルより 02


7月が始まり、こちらでは学生は今日から2ヶ月間、夏休みに入ります。

国家/NATION – Anarchy in E.U.

私はとてもアナーキーな国に住んでいると言ったら、どんな国を想像するのでしょうか? ちなみにここでは今政府が存在していないのです。もうとっくに政府不在期間の記録を塗り替えているようです。その状態で欧州議会の議長国まで努めたという、変わり種でもあります。

フランダース旗-オランダ語圏


ワローン旗-フランス語圏

先だって(といっても1年以上前に)解散してしまった後、選挙があったのですが、組閣できずに今に至っています。あっても無い、もしくはあった方がヒドい政府を持つよりはましですが。痴話喧嘩(もとい解散)の理由は、あまり知られていないと思いますが、そもそも北と南で言語文化が異なる地域に作られた国家(1830年建国)は、元より分裂細胞を抱えて生まれてきたようなのです。首都ブリュッセルは、言語境界に近い北側に位置していますが、まるで真空地帯の如く、どちら側にも属さない地域となっています。この時点で全く部外者には理解しがたい状態です。

ちなみに北(オランダ語圏)と南(フランス語圏)と真空地帯(両方と移民、外国人滞在者多数)と小さい東の地域(ドイツ語圏)と、それぞれ独立した行政機関を持っており、その意味でベルギーは連邦制の形を取っています。そのおかげもあって、それぞれの地域はそれなりに機能しているという奇妙な状態が続いています。そしてそれぞれの行政機関多くは、首都ブリュッセルに集まっています。国の規模が小さくマジョリティーとなる集団が圧倒的多数で存在せず、そのため連邦政府はいつも連立政権となります。連立政権はやはりどこも難しいらしく、利害が一致しない、足並みが揃わない等なかなか順調には事が進まないようです。一昨年の解散劇はそんな中、連立政権の中の一党が現状に妥協できず、自ら政権から離れる選択を取ったことで起きたようです。選挙の焦点は、ベルギーを南北で分裂させよう!?、正確には北側(現在は経済力があり発言力もある)が南側(過去に経済力があり国の基盤はここから、現在は失業率が高い)と一緒はもううんざり、自分たちだけで国を持ちたいという人達(政党)がいまして、中道右派も巻き込んで、北側では結構な数の支持を得ているのもなかなか驚きなのですが、、そんな彼らが得票数を延ばし、第一政党となった事から今回の政府権不在記録が始まったのです。ちなみにベルギーでは選挙は義務です、国民は投票に行かなくてはなりません。移民の私には国政レベルでの選挙権はありません。

昨年6月の解散後の総選挙キャンペーンが始った折、週末ある立て看板の前を通りかかったら、政治家自ら大きなジープ(都市部では大きな車はエコロジーブームも相まって、かなり批判の対象です)で乗り付けて、他のポスターの上に自分のポスターを重ね張りしている姿を目撃、呆気に取られてみていましたが、本人は至って正気。2007年には、約6ヶ月程、政府が無い状態が続いたこともありましたが、はたして、正確ではない鉄道はいつもどうり不正確に走り、スーパーには食品が並び、道路はいつもどうり渋滞し、人々は普通に生活している様に見えるので、テレビを持たない生活を続けている私はまったく変な国だなと思うだけで、(選挙権もありませんし、正確には区役所レベルの選挙には参加できるようになったようですが。区役所へ出向き、主張しないと選挙カードも送られてきません)あたり前ですが、いつもどうりの生活をしています。もちろんその間、政府が無いからといって地方行政の仕事がなくなる訳ではないので、道路工事も建設工事もなにもかもいつもどうり非効率的に行われています。『決められない』というのは、どうもベルギー王国の迷惑キャラとしか言えない状況が続いて、その中で日々の生活を続けて行く人々の態度を、百歩千歩程譲ると『寛容』と言えるのかもしれませんが、一移民としては、その『寛容』すら迷惑だと気付いてほしいのですが。


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