僕は島が好きだ。
小さい頃一時的に島に住んでいたし、卒業制作は毒ガス島でやった。
島の魅力は本土と異なる文化を有するその独自性だと思う。
多くのチリ人が「あそこは美しい島だね。」と答える島。それがチロエ島。
このチロエ島はサンチアゴから南に下ること1,200km、四国くらいの大きさで湿潤な気候により豊かな自然を育んでいる。
この島の独自性。それはすべて木でやっている (やってしまっている) 所だ。
家はもちろんなのだが、特に素晴らしいのが島内に大小150あまりある教会。
これまで日本国内や中国南部、ノルウェー沿岸部などで
優れた巨大木造宗教建造物は見てきたことはあるのだが、
それらはあくまで「木造」としての造り方を追及したものであった。
チロエの教会を見ていると、かつてこんなやり取りがあったのではと思わせるほどである。
A「見てみろ。北の方にはこんな教会があるらしいぜ。」
B「へーかっこいいな。おれ達も欲しいけど。これは石で作っているのか?」
A「石か…でもチロエには木がたくさんあるから大丈夫だ。」
B「そうだな。じゃあちょっと木でやってみよう。」
そして出来たのがコレ。
オーダーも。 交差ヴォールトも。 フライングバットレスも。
みんな木。木。木。
島の中にはいくつかの街があって、それぞれにこのような木造教会を有している。
大きいやつ。 小ぶりなやつ。 渋いやつ。
チリをはじめ他の多くの南米諸国もそうだと思うのだが、
彼らの優れた性質は外来のものを旨く自分たちの文化、気候、風土に変換させ、
適応させ、進化させているところだと思う。
欧米に媚びすぎない。
その精神は現代の文化(建築)にも脈々と受け継がれていると思う。
今度はこれまた興味深いチロエ住宅事情を語ろうと思う。