引き続きチロエという島について。
この島の家々の特徴。それは愛くるしいファサードだ。
ほとんどすべての家は教会同様、木で造られており、
その表面にうろこ状に色とりどりの木の板が張りつけられている。
おそらく雨が多いこの島の工夫で、
日本でもこういった雨仕舞の技術を目にすることが出来る。
そしてこれらの木造住宅が湾沿いに行儀よく並べられ
この島の特徴的な景観を築きあげている。
湾に面した住宅は木の柱で持ち上げられ、水上へと張り出している。
この木のピロティは潮の満ち引きによって海になったり陸になったりする。
ちょうど雨が降ってきて雨宿りにもぐりこむと
そこでは陽気な若者たちが一杯ひっかけていた。
彼らは嬉しそうにこの家の技術と美しさを話す。
ふぞろいな柱たちが力いっぱい家を支えていた。
そしてこの島にはボスの処女作がある。
深い深い森の奥のそのまた奥に、ひっそりと佇んでいる。
“Habitación” 「部屋」
この家ももちろん木造で、この地の木をその場で伐採し、その場で加工し、その場で組み上げる。
1階はただただ格子の空間で
2階はただただ赤い空間だ。
グリッドという人工世界、周囲の環境と対比的な赤の世界。
都市から離れた一時的な自然の「部屋」
その自然からも盲目的になるための一時的な「部屋」
この部屋の存在もきっと一時的なものなのだろう。
それは彼がイタリアで歴史を学んだことに関係しているのかもしれない。