エストニア・タリン便り_2012.07.15


先日散歩がてらに、タリンのハプニングな地区へ行ってきました。ここは旧市街の傍にある広大な工場の敷地でいまどんどん面白くなってきてます。

 

 

夏の間毎週土曜に敷地内で開催されているフリーマーケットの様子です。


電気関係の工場だったこの地区は今 TELLISKIVI LOOMELINNAKテリスキヴィ・クリエーション街区)と名づけられており、2万5千平米ある敷地内には11の異なる既存の建物が立ち並び、オフィス、スタジオ、アトリエ等として比較的安い値段で賃りられる場所です。友人のアーティストたちがここに入居して日々活動しています。

 

メインの建物の一階ロビーです。

 

 
以前はここを工場労働者が朝晩行きかえりしていたんでしょうね。

 

 

2001年に当時の同僚と事務所の場所を探していた時にはまだもともとの工場が一部稼動していたので貸主側があまり協力的でなかったことと、空き巣が多くて夜にコンピューターを置いていけないんじゃないかと危惧があったりしたことから、我々はこの場所での事務所の設置をあきらめたとい経緯があります。その後も突発的なアートイベントやスクワッティングの対象になったりしてきました。2003年には地区の将来像を描くコンペが行われ、新しい建物を既存の建物の間に挿入して全体の活性化を図る案(ロッテルマン地区と似た戦略ですね)が選ばれました。コンペの一等案については建築雑誌にも取り上げられています。(英語の記事です

 

via QP Arhitektid

この配置図で本当に旧市街の脇に位置してるのが見て取れると思います。

 

しかし駅の裏側に位置し、あまり治安や雰囲気のよくなかった当時のことを考えれば投資と回収額の折り合いがつかなかったと思いますし、しばらく前には進んでいませんでした。リーマンショックの前後からエストニアでアーティストやスタートアップの会社をサポートするクリエーター産業やインキュベーター地区等の動きが活発になり、このTELLISKIVI(テリスキヴィ)地区の開発も新築の建物を使ったも大きなアクションではなく、草の根運動のような、小さな投資で既存の建物を改修して貸し出し、アートとカルチャーを前面に押し出した「ロフト」の雰囲気を持つ地区として開発へと変わり、現在に至ってます。前世紀のストラクチャーと肩肘張らない雰囲気があいまって、このオルタナティブな地区に人々もどんどん足を運ぶようになって来ました。

 

 

 

 
廃墟が好きな人にはたまらないですね。
 

一番大きな建物はこんな感じです。まだ稼働中なのか、ドアが開いており遠くから物音がしていました。

 

 
 
 

 

古い家具を扱ってる店も2軒入っています。

 

中でみつけた電子オルガンのスイッチ。色がいいですね。

そして最後に、最近できたF-HOONE(ホーネ=棟)いうレストランです。夜遅くまで開いていて、そして値段も手ごろでと人気です。

 

 

ようやくタリンにもオルタナティブな場所ができ、旧市街のすぐ傍の立地条件にも関わらず忘れられていた場所に人々が行きかうようになって来ました。リーマンショック後の経済停滞はなにも悪いことばかりではなかったようです。

 


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