今年はここまでは暖かい冬が続いています。例年なら日中でもマイナス10度にならないくらい寒いはずなのですが、2月になっても零度前後で雪が降ったりちょっと溶けたり繰り返して歩きにくい毎日です。
去年紹介した、いろいろ面白いことがおきているTELLISKIVI LOOMELINNAK(テリスキヴィ・クリエーション街区)から面白い依頼が来ました。
タリンにあるもうひとつの建築学部のある大学(エストニア・アート・アカデミー、通称EKA)とジョイント・ワークショップをして、オフィス・リノベーションのアイデアを出してもらえないかということでした。うまくいけばこの夏にはそれを実現できるという、学生にとってもモチベーションのあがる計画です。小さい町にある2つの大学の間では以前あまりなかった共同作業。今回のワークショップを通じて将来的にもいろいろ大きく楽しくやっていけると思ったので、さっそく引き受けました。
年暮れに下見に行ってきました。
手前にいるのが私の学校の学部長です。
以前は事務所として使われていたA3棟の3階、まだ手付かず。
窓からの眺め、地区の雰囲気が分かります。
ガラクタの残っている渡り廊下。
A3棟の4階はリノベーションが終わっています。そこにある居心地のよさそうなスタジオ。
EKAからのワークショップの指導教官プリート(PRIIT)と、クライアントであるテリスキヴィの代表者を交えて決めたワークショップの要綱は次のとおりでした。
1.参加者は、EKAのインテリア・家具デザイン学部、EKAの建築・都市計画学部、私の教えるTTKの建築学部からとし、すべて3年生。
2.5日間で、25から35平米
のオフィス(窓ふたつ分)、共用廊下、共用のミニキッチン+休憩室に対して、グループでプロポーザルを出す。
3.部屋ごとの家具や照明の予算は800ユーロ(壁や床の補修やペンキ塗り、電気工事等は別途)。
4.ワークショップの終わりに10のアイデアを選び、選ばれたアイデアは夏の工事開始に向けて3月、4月と詰めていく。
1月21日 (月)に場所に集まった学生に要綱が渡され、作業開始。いくつかのグループは学部、学校を横断して作られていきました。TTKに交換留学にきているチェコからの男子も途中から参加。なかなかいい出だしです。
プリートが面白い便所を見つけてきたので、見に行ってきました。もともとは機械室だったのをトイレに改装したらしく、部屋の中は迷路のよう。
階段もいい感じにくたびれています。
さて、指導中にプリートともども常に言い続けたことはこんな感じのことでした。限られた予算内でデザインするためには、セカンドハンドのものや比較的安価な建築資材などを賢く組み合わせて使うなどの工夫が必要だが、それに引きづられて面白い空間を作ることを忘れてはいけない。テーマをはっきり打ち出して、やりすぎと思うところまで試さねばならない。そのためにはアイデアに名前をつけて、それをうまく表現するようにするといい。3Dに頼るより、紙やボードで模型を作ってみよう、などでした。
金曜日は街区の中にあるF-HOONEというレストランの一室をかりてプレゼンテーションになりました。
パワーポイントを使って5分ほどでうまくまとめて発表していました。うまくいったチームは見つけたアイデアをうまく空間表現に昇華できており、なかにはモジュールを使って賃貸のオフィスとしての自由度を保障しているのもありました。
もうこれでおしまい!といった感じで、参加者全体に心地のいいチーム感がみなぎっています。参加者からは楽しいワークショップだったと感想が寄せられ、プリートや学校の事務方ともどもいい手ごたえを得ました。
最終的には3階にある9つの部屋、廊下、休憩室をデザインする11のアイデアをアイデアのオリジナル度、発展の可能性等を検討しつつクライアントと共に選びました。現在クライアントは内部で協議中で、3月からデザイン・デベロップメントのステージを始められたらと思っています。続きはまたお知らせしたいと思っています。