東京はとっくに桜が散ったと聞きましたが、こちらはまだまだ雪が頑固に残っています。今回は今月頭に訪れたモスクワについて書きたいと思います。
さて、大学では2年生の春学期に建築研修として国外の都市と建築を見に行っています。一昨年はアムステルダム、昨年はバルセロナと普段は西ヨーロッパの街を訪れているのですが、今年は趣向を変えて隣国の首都モスクワということに。ビザ、通貨、言語などいろいろな面で手間のかかるものでしたが、先週末無事に1週間の研修を終えて帰ってきました。
私自身、7年前にのサンクト・ペテルブルグ訪問以来の2回目のロシア行きとなり、以前から興味のあったロシア構成主義もしくはロシアン・アヴァンギャルドの建築家たちの作品をみてみたく、興味をもって参加しました。
タリン発の夜行列車に揺られ、およそ20時間でモスクワのレニングラツキー駅に到着。雪交じりの天候の中ホテルに移動の後、さっそく有名なモスクワのメトロを見学に。
タリンから来た我々は、人の多さ、歩く速度や乗り込むテンポにしばし圧倒されたものの、なんとか駅から駅への移動で誰も迷子にならずにすみました。
乗り込むときにぼやぼやしていると後ろから押されたり、降りる人の勢いに逆らってしまうとひじで突かれたりします。お互いがぶつかっても「すいません」という言葉もなく、それぞれが自分のために戦っているような印象をうけました。タリンでは、昼間の市内でいたるところで子供を見かけるのですが、モスクワのメトロでは殆ど見かけませんでした。
さて、WIKIPEADIAによるとモスクワの面積は2,510平方キロ、人口は1千150万人と東京都とほぼ同じ規模の都市(面積2,190平方キロ、人口1千300万人)。同じ縮尺の地図で他の都市と比べると、
地下鉄開業1935年
地下鉄開業1927年
地下鉄開業1904年
地下鉄開業1863年
地下鉄開業1900年
となり、確かにモスクワはサスキア・サッセン(Saskia Sassen)の唱えるグローバル・シティーのクラス。
モスクワ市内の、1、2分おきに走るメトロは昼間でも座れないことのあるほど市民の足としてよく使われており、メトロなしではとても都市機能を支えきれないと思われます。一回の運賃は100円ほどです。
全部で12路線あるモスクワのメトロ案内図。
コムソモリスカヤ駅の表示、他の路線への乗換えが表示されています。
コムソモリスカヤ駅の内部、まるで宮殿のような豪華な内装です。
ベロルスカヤ駅、1954年完成。当時ソ連の一共和国だったベラルーシを記念した装飾。
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民族衣装を着たベラルーシ人が見て取れます。
マヤコフスカヤ駅、1938年完成。詩人マヤコフスキーにちなんだアール・デコ形式の柱が並んでいます。
クラスニエ・ヴォラタ駅、1935年完成。「赤い門」という名前の凱旋門があったことにちなんで名付けられました。そのためか、赤い石材がふんだんに使われています。
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この一風変わった地上入口は1935年完成。設計は二コライ・ラドフスキー(Nikolai
Ladovsky)
メトロの駅はほとんどが地下30から40メートルほどに位置し、道路の場所にはあまり関係せずに、広い共用コンコースを挟んで上下線のプラットホームが並ぶという分かりやすい配置になっていると考えられます。建設当初からエスカレーターが導入されています。
毎回メトロに乗るたびにこの奈落の底に下りていくような不思議な感覚になりました。
エスカレータ上のマナーとしては、急ぎの人は左側から、立ち止まる人は右側に立ちます。私はこのマナーが初めは分からず左側にたっていたところ、エスカレーター下にあるボックスに詰めているおばさんにマイクロフォンで怒鳴られました。途中で立ちくらみをして支えてくれる老婦人も見かけました。
次回は、地上の様子についてお知らせしたいと思います。