モスクワ建築研修(3)建築編その2


暑中お見舞い申し上げます。

今年のエストニアの夏はじわりと暑かったのは一週間ほどで終わってしまい、7月後半からは20度前後の気温が続いています。

この夏は、招待コンペ2つ+公開コンペ1つ+アパートの現場監理、そして今年の9月に開催されるタリン建築ビエンナーレへの参加(またインスタレーションをやります)の準備など忙しくすごしています。その合間を縫って10日間ほど休みをとり、ウィーンからキャンピングカーに乗ってきた10年来の友人であるオーストリア人建築家の家族に合流してエストニアの自然を満喫してきました。

 

 
 

さて、大変遅れてしまったモスクワ建築の研修のハイライト、コンスタンティン・メルニコフの建物を中心に紹介します。

 

ロシアン・アヴァンギャルドの巨匠メルニコフKonstantin
Stepanovitch Melnikov
は、いくつもの「ガレージ」と呼ばれる建物を残しています。当時新しいビルディングタイプとして必要になったのもです。

 

それはそのひとつ1936年完成のGOSPLAN GARAGE(車の修理工場)。円筒形のファサードのうしろは従業員の食堂。

 

そしてトラックのためのガレージ(1926-27年)。

 

 

円形の面白い平面らしいのですが、現在も使用中で、中には入れませんでした。ガレージの前で一生懸命説明をしてくれるガイドのニコライ。

 

そして、ルサコフ労働者クラブ(1927ー1928年)
 

 
突き出した部分の中は、3分割できる大ホール。現在閉鎖中。完成当初の側面のガラス窓は埋められており、後年の増築によって当初のインテリアは失われてしまったと聞きました。レンガとプラスター仕上げからなる後ろ側も実に面白いものでした。
 
 

これが有名なメルニコフの自邸(1927-29年)。六角形の窓が並ぶ二つの円筒を組み合わせたアトリエ兼住宅。表通りからは大きなガラス窓が見え、その上にロシア語でKonstantin
Stepanovitch Melnikov ,
architect
と記してあります。

 

現在はメルニコフの孫が住んでおり、博物館として公開されているはず。しかし電話をしてもメールをしても梨のつぶて。ガイドのニコライを通してなどと、いろいろなルートから交渉をしてみたのですが、残念ながら中には入れませんでした。あーこの内部空間を体験したかった!!

 

2photos via this blog

 

建物周辺はこんな感じで、ふたつの標準的なアパートメントにはさまれていて、スケッチの上側にあたる部分で現在大きな建物が建設中。

建物の状態は悪く、以前から改修の必要だったのですが、隣地に建つ建物の工事のためにひび割れがひどくなっているようです。メルニコフの子孫の間でも係争があり、もうしばらくは解決出来なさそうだともニコライが話をしてくれました。

 

via
http://theconstructivistproject.com/fight-melnikov-house

 

モスクワにはツェントロソユーズと呼ばれるコルブジェの設計した建物(1933年完成)があります。

 

 

このツェントロソユーズの影響を受けたとされる、VEI BUILDING (設計L.
Maylman, V. Movchan, G. Movchan, with Korenkov, Ilyinskiy, Shvedov,
Chuenko
、1929-32年)

 

ランプからなるこの空間が面白く、そこにあるオリジナルのリフト。

 

 

実はこれは常に上下に動いているため、ぴょんと乗ってぴょんと降りないといけないそうです。

 

 

円筒形のコーナーと力強い構成が見ものの、1928年完成のズーエフ労働者クラブ設計はイリア・ゴーロソフIlya
Golosov
)。現在は劇場として使われており、当時の内部構成も殆ど残っています。

 

ガイドをしてくれたニコライの口からも何度も聞いたのですが、完成後80年の歳月を経たロシア構成主義建築の建物は、一様に危機に瀕しています。今改修、補修しないと倒壊する危険があり、文化財としての研究、登録そして改修の必要性が叫ばれています。

 


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