神々の島々 01_チチカカ湖へ



神々の島々 01 (1)

 今年の夏のバカンスは担当していたプロジェクトの提出が長引き3月中旬にずれ込んだ。この時期のサンチアゴの空港はどちらかというとバカンスから帰ってきたという感じの程よく日焼けした人たちで混み合っていた。2014315日午前11時、晴れ、定刻通りラン航空のボーイング機は北へ向かって飛び立った。チリ北部の街イキケで飛行機の乗り換えと軽めの昼食、そしてフランクな出国審査を済ませ飛行機は再び離陸する。そして1時間足らずの短いフライトの後、ボリビアの首都ラパスへと降り立った。

神々の島々 01 (3)

<ボリビアへようこそ>

 

  今回の旅程は約3週間で隣国ペルーとボリビアを巡るというものだったのだが、正直これまでの旅の中で最も苦しいものとなった。マチュピチュ遺跡やウユニ塩湖を要するペルー・ボリビアは南米旅行者のなかでは比較的ポピュラーな土地であり、実際日本人及びアジア人を見かけない日はほとんどなかった。概ね全ての観光地では良くも悪くもツアー化されており、また両国とも公用語がスペイン語であるため取り立てて言葉が伝わらず苦労するという事もなかったし、特別治安が悪い場所もなかった。ではなぜこの旅がそれほど苦しいものだったのか?それは「高さ」がもたらす病だった。

 

 今回の大まかなルートはラパス(3,700m)→コパカバーナ(3,820m)→プーノ(3,850m)→チヴァイ(3,600m)→アレキパ(2,350m)→クスコ(3,300m)→ウユニ(3,700m)→ウアイジャハラ(3,730m)と軒並み富士山の頂上級の高地に位置する街を巡るものだった。一番高い所だと5,000m近い所もあった。渡航前はたかが高山病とナメていたのだが、普段から頭痛持ちの僕はどうやら発症しやすい体質らしく、慢性的に軽い、時に重い頭痛に悩まされ、何度かひどい嘔吐や腹痛に苦しめられた。これらの症状は現地で入手できるコカの葉を噛んだり、コカ茶を飲用することによって緩和できるようだが、僕は薬局で入手できるカプセルや錠剤といった西洋的手法に身を委ねた。この3週間の薬漬けの旅で分かったことは「僕は高さに弱い」という事だった。今後エントリーシートに自分の短所を記入する欄があれば僕は潔く「高さに弱い」と記すことにする。

 

神々の島々 01 (5)

<La Paz_3,700m>

recorido (4)

 <Copacabana_3,820m>

puno

<Puno_3,850m>

DSC09918

<Chivay_3,600m>

arequipa

<Arequipa_2,350m>

cusco

<Cusco_3,300m>

recorido (8)

<Uyuni_3,700m>

huayllajara

<Huayllajara_3,730m>


神々の島々 01 (6)+

<Pampa Cañahuas_4,910m>

 

 今回の旅行で事前に最も楽しみにしていた場所、それはロマン溢れる古代遺跡マチュピチュでもなく鏡張りの絶景ウユニ塩湖でもない。一言で言えばそれはチチカカ湖だった。これから数回にわたりこのチチカカ湖にまつわる文章を書こうと思う。

 

 チチカカ湖はアンデス山脈のほぼ中央、海抜3,890mに位置し、面積は琵琶湖の約12(8,300k㎡)、最大水深は約280m、湖はペルーとボリビアの国境にまたがっており、60%がペルー、40%がボリビアに属している。また標高3,890mは汽船が航行できる世界最高地点となっている。そしてこのチチカカ湖内には個性的な島や集落がいくつか点在しており、それらの島々をボートで巡ることが出来る。島愛好家の僕としてはこのアイランド・ホッピングを非常に楽しみにしており、そして実際これらの島での体験がこの旅で最も印象的な出来事のひとつとなった。まずは首都ラパスからチチカカ湖のボリビア側の拠点の街コパカバーナ(Copacabana)を目指すことにする。

 

神々の島々 01 (8)

<インディヘナ>

 

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<ラパスの青空市場>

 

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<ラパスの青空市場>

 

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<ラパス市街地>

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<ラパス市街地>

 

 

神々の島々 01 (13).jpg<ラパス市街地>

神々の島々 01 (14)

<ラパス市街地> 

 朝7時、まだ夜が明けきらぬ薄暗いラパスを出発する。ローカルバスで現地民とのんびりと行くという手もあったのだが、早々に高山病に苦しめられていた私は迷わずコパカバーナへと直行するツーリストバスへと乗り込んだ。このラパスという街は90万人が暮らす都会でありながらボリューミーな民族衣装を皆纏ったインディヘナ(原住民)が多数闊歩し、異国情緒を味わうには十分な都市である(ボリビア国民の55%はインディヘナであると言われている)。すり鉢状にレンガ家屋がひしめき合うラパスの市街地を抜け、バスはのどかな田園地帯をひた走る。コパカバーナまでは所要訳4時間。車窓から見えるローカル家屋にひたすらシャッターを切る。

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<ボリビアロードサイド>

 

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<ボリビアロードサイド>

 

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<ボリビアロードサイド>

 

神々の島々 01 (19)

<ボリビアロードサイド>


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<ボリビアロードサイド>


神々の島々 01 (21)

<ボリビアロードサイド>

 

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<ボリビアロードサイド>

 

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<ボリビアロードサイド>

 

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<ボリビアロードサイド>

 

神々の島々 01 (25)

<チチカカ湖畔の町>

 

神々の島々 01 (26)

<チチカカ湖を渡るバス> 

 やがて湖が現れ、バスは簡素な渡し舟に積み込まれ対岸へと渡る。さらにバスを走らせること小一時間、2つの小ぶりながらも形の良い山とその麓に広がる町が目に入った。コパカバーナの街だ。コパカバーナというとブラジルのリゾートビーチを思い浮かべる人も多いかもしれないが、ここボリビアのコパカバーナはチチカカ湖畔に佇むのどかなリゾート地といった様相で、欧米人の旅行者も多い。砂浜が広がる湖畔やそこから伸びる目抜き通りには観光客向けのレストランや旅行エージェントが軒を連ねる。

 

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<コパカバーナ>

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<コパカバーナ湖畔> 


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<コパカバーナ、目抜き通り>

 

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<コパカバーナ、路地>

 

神々の島々 01 (31)

<コパカバーナ、路地>

 

 背後にそびえる山を登ると街と湖が一望できると聞き、登ることにした。この時はまだ身体が高地順応しておらず、少し坂を上るだけで息が切れる。そして頂上からは前評判通りの美しい風景が広がっていた。このスケール感はもう湖というよりも海のそれである。

 

神々の島々 01 (32)

<コパカバーナを臨む>

 

神々の島々 01 (33)

<チチカカ湖を臨む>

 

神々の島々 01 (34)

<コパカバーナのホテル>

 

小一時間ぼど水平線を眺め、程よい頭痛を覚えながら宿へと戻る。この日の宿は奮発して湖の見える清潔な部屋を選んだ。といってもここボリビアは南米最貧国と言われており物価も安い。この湖を臨む静かなツインルームも二人で200ボリビアーノ(=3,000)ほどである。安いドミトリーなんかだと1ベッド2030ボリビアーノ(300500)で見つけることだってできる。この日は軽めの夕食と赤と白のカプセル剤を流し込み早々にベッドにもぐりこんだ。

 

COPACABANA 05_ng

次回インカ帝国の発祥の地、太陽の島へ。

foto_ yujiharada


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