パリに来てみて
ユニコーンサポートの皆さん。お疲れ様です。
今回から執筆者として参加させていただくことになった修士2年(3年)の越後 海です。
現在、Lacaton&Vassal Architects(パリ)でインターンをさせていただいています。
これから徐々に現地での生活や事務所のことなど報告していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
-毎日の生活/住んでいる町のこと-
パリで生活するには5万(100ユーロくらい)はかかると聞いていたが、普通に生活していればそのくらいはかかるかもしれない。
自分の場合は家賃が月580ユーロで、(住宅補助金が仏国から100ユーロくらいでるので実際の負担は480ユーロくらい)、食費は可能な限り節約すれば 300ユーロほどに押さえられるが、たまに外食などすれば、400ユーロはかかる。それに旅行など行ったり、物品を買ったらもっとかかる。合計の平均で 1000ユーロくらいは月につかっている。最近はパスタ、ケバブ、ハンバーガー、米を炊くなどしているが一日がんばっても5から10ユーロは使ってしまう。家賃については、東京よりも高い。パリでは住宅が不足している。量も足りていないし、家賃も高いため、若者や低所得者はシェアハウスをしている人が多い。建築の高さ制限によって高層建築がたてられないため容積を得る事ができないため需要に答えられていないのだと思う。上には伸ばせないため地下に伸びてサンクン ガーデンつきのアパートもあるが、そう多くはない。高層にすればいいかというと全くそうではないし、都市の人口増加と居住環境との兼ね合いとは難しい問題である。
-気候-
気候の違いは文化に決定的な影響を与えると感じる。
一番の驚きは日照時間の長さである。夜の10時にやっと暗くなる。それだけ屋外で過ごす時間も長くなるし、故にこちらの国の外部空間への意識、豊かさにつながっているような気もする。結果として、一般的な市民の都市空間への意識は日本と比べ高いのではないか。今年はじめの横浜YCCでの塚本由晴さんのレクチャーでの言葉を思い出す。たしか”一般人の意識を上げるしか、これからの都市はよくならないのではないか?”的な、”偉大な一般意思”をどのように構築していくか”的なことを言われていた気がする。本当にそうだなと感じるが、日本に豊かな外部空間が少ないのは日照時間にも起因しているのかな?とも思った。
日照時間に加え、気温も(まだ冬を体験してないからわからないが)温暖であるし、東京の夏の気温の高さに加え、湿度の高さと比べれば、パリの夏は平均気温25度くらいだし湿度は高くなく過ごしやすい。パリの緯度も日本の北海道と近かった気がする。
過ごしやすい気候は外部での行為の自由度をあげる。パリジャンの生活に欠かせないカフェだって外部にテラス席がはみ出ているし、広場はあちこちに市によって整備され、管理され心地よい状態に保たれている。公共的な広場の様子を観察してみると、芝生の上で寝転ぶ、座る、ランニングする、体操する、スケボーをする、お話しする、ピクニックする、景色を眺める、音楽をきく、タバコを吸う、それらをひとりで、ふたりで、たくさんのひとと、輪になって、階層もホームレスからハイソサエティな人まで…など、実に多様な人間や自由な行為が許容されているし、それ故、居心地のよさ、真の公共性?につながっている。
–人間関係–
フランス人は個人主義?的な事を聞いていたが、様々な場面で本当にそれを感じている。
他人に干渉しないスタンス。無関心。都市だから仕方ないのかもしれないが、”自分さえよければ”の人が多い気がする。それは結果的に自分たちの環境を住みにくくしていると思う。
次は日本の都市とパリの違いについて感じたことを書こうと思う。
Kai ECHIGO