-日本との違いを感じること、ちいさな気づき-
1.公共交通体系について
パリでの公共交通はメトロ、路面電車、レンタル自転車がメインである。
自分が着目したのは、メトロのスケールのあり方だ。体験として感じるパリでのメトロの駅同士の距離はとても短い、徒歩圏内であると感じる。
試しにどんなスケールの違いがあるか自分で調べてみた。上図は同じスケールで横浜とパリの地下鉄の駅同士の距離を比較したものだ。結果は横浜は駅同士が約800mに対してパリでは200mだった。4倍も違う。
そのため、パリにおいて地下鉄駅の規模は小さくて済む。人を大量にさばく必要がないからだ。そして、地下におりる距離が日本に比べ少ないため疲れない。気軽さがある。結果として駅という建築のビルディングタイプがもつ象徴性(日本においての)があまりない気がする。大学院一年生の時の座学で中村さんの(都市交通)授業をとっていたが、彼の話を思い出した。日本では地下鉄の駅同士の移動時間が短いが、地下深くまで掘ってあるためプラットフォームまでの移動時間を含めるとトータルの時間はかなりかかる。労力もかかるという話だ。今になってみると日本の駅に自分は”重たい”印象をうける。一方パリの地下鉄では移動時間のトータルは短い。そのため”軽い”印象を受ける。僕は結論としてパリの地下鉄のあり方の方がその点において優れていると思っている。仮に日本の”駅”のもつ”重たさ”を必要なしに、別な交通体系への乗り換えが障害がなく、スムーズに可能なら”駅”というビルディングタイプは今後必要はないと思う。そんなにどっしりと「俺は駅だ!」と構えなくて良いと思う。駅に象徴性は必要か。
2.都市の規模について
規模を数値的に比較したわけではないが、パリの都市の規模は”ここからこの辺までがパリ”という都市のイメージが認識しやすいように思う。それゆえ都市として身体的であるように思うし、丁度いい大きさだなと感じる。東京23区は人間のスケールを遥かに超えた大きさをもつ都市であるし、把握しにくいように思う。というのも、東京はエリア事に特徴的な性格をもつ多中心的な都市なので一つ全体性を帯びた”東京”というイメージを把握することを妨げている気もする。一方パリは環状道路の内と外側ではっきりと性格が異なること、建築の高さ制限があるため広い展望が得られること、真ん中を通るセーヌ川、エッフェル塔、モンパルナスタワー、などいくつかのランドマークがあることが認識を容易にしていると思う。
3.商業施設について
まだパリの都市計画について調べてはいないが、コマーシャル系のプログラムの配置のされかた、密度、規模がパリの街を楽しくさせているのは間違いない。大部分の路地において地階に小さな小売店が並列して並ぶ。地階への意識が高い。路地のあり方は都市の雰囲気を決定づけるからだ。居住は大部分が2階以上に配置される。だがしかし、なぜこうした小さな小売店は経営的に持続可能なのか。日本ではこうした小さな小売店は、大型ショッピングモールに太刀打ちできなくなり持続不可能な状況だ。そもそも大型ショッピングモールのような大容量の空間をパリの既存の歴史的建造物に挿入することが禁止されているからなのか、単純に法律で保護されているのか。なぜだ!?そんな疑問を持っていたが、たまたまパリでアーバニズムを専攻していた知り合いができたので彼女に聞いてみた。やはり都市計画で路上の小さな店たちは保護されているらしい。それに大型ショッピングモールのような大容量の建築はパリのオスマンファサードを保護するため挿入不可能らしい。一方、パリの郊外は大型系がつくられているらしく、それに対抗する計画が進んでいるらしい。
理由はいずれにせよ、こうした小さくて多様なお店では、より身体スケールにあっているし、歩いていて楽しい都市のファサードの一部をつくりあげているのは間違いない。
4.高さ制限がもたらす利点について
既知のとおりパリは基本的に階高に制限がかけれらているが、それによってもたらされる効果は何だろうと思った。日常生活の中で感じたことをかいてみる。それはまず中庭に光がはいること(パリはブロックに隙間なく壁を共有し建築面積を最大にしているが、アクセスが制限されている中庭を設けている場所が多い)。通りに光が入ること。屋上のレベルから街を遠くまで見渡すことができること。それと日本の都市でのビル風のような現象を防いでいるかも?(かなり適当な憶測w)。
次はインターンをしていて感じる事を書こうと思う。
越後 海