神々の島々04_アマンタニ島



 

アマンタニ島 (1)

  

前回までのお話

神々の島々01_チチカカ湖へ

神々の島々02_太陽の島

神々の島々03_ウロスの浮島

 

  

アマンタニ島 (2)

<アマンタニ島>

  

アマンタニ島 (3)

<アマンタニ島>

 

 植物でできたウロスの浮島を後にし、次に向かうのはアマンタニ島だ。このアマンタニ島はいわゆる、普通の、陸の島である。島の大きさは直径3,4km程度。今回の1泊2日のチチカカ湖ツアーの宿泊地はここだ。しかも島の一般家庭にホームステイする形だと聞いている。昼前に船は島に到着し、乗客は波止場に集められる。ここで本日泊めていただくファミリーが発表される。ぞくぞくとホスト先が割り当てられ、そしていよいよ最後に僕が今回お世話になる家がブランカ家であることが決まった(決められた)

 

アマンタニ島 (4)

<今回お世話になったブランカ()>

 

 

アマンタニ島 (5)

 <のどかな島の風景>

 

 

 

 昼食後に再び町の広場集合で、ということになり、各自ツーリストは各々のステイ先の人に連れられて波止場を後にする。島内は車は走っていないから、もちろん徒歩だ。のどかな田園地帯を歩くこと15分。爽やかに息を切らしながら田舎作りのブランカ宅へとたどりついた。家の造りはこの島では一般的なアドベ(日干しレンガ)でできており、中庭を囲うようにロの字状になっている。一部2階建てになっており僕の寝床はその2階の一室であった。そこには簡素なベッドが2つ備えられ、簡素な窓が2つ穿たれていた。

 

 

アマンタニ島 (7)

<ブランカ邸_パティオ>

 

 

アマンタニ島 (8)

<ブランカ邸_パティオ>

 

アマンタニ島 (9)

<ブランカ邸_ゲストルーム>

 

 

アマンタニ島 (10)

<ブランカ邸_食堂>

  

アマンタニ島 (11)

<ブランカ邸_台所>

 

 

 

 とりあえず担いでいたバックパックを床にドサリとおろし、少しベッドに横になった。窓の外からは優しい田舎の匂いがしてくる。しばらくすると娘のアルバが昼食の用意ができたから食堂に来いと呼びにきた。ちなみに彼らの第一公用語は現地のアイマラ語であるが、スペイン語も十分に通じる。

 

アマンタニ島 (12)

<スターター:キヌアのスープ>

 

アマンタニ島 (13)

<メイン:アンデス原産のふかしいも・とうもろこし・揚げチーズのプレート>

 

アマンタニ島 (14)

<食後のムニャティー>

  

 この日の昼食は、スターターがキヌア(南米産の粒状の穀物)のスープ、メインがアンデス原産のふかしいも・とうもろこし・揚げチーズのプレート、そして食後にムニャ(アンデスのミント)ティーがサーブされる。とりあえず西洋風な添え字をしてエレガンスを装ってみたが、内容は至極質素なものだ。お気づきの通り肉類が一切入っていない。精進料理みたいなものだ。今風に言えばベジタリアンフードか。ちなみに魚や肉は2月の特別なお祭りのときに振舞われるらしい。しかしこのアマンタニフード、あなどるなかれ。全てがめちゃくちゃウマい。おそらく素材の良さの一言に尽きるのだが、キヌアの絶妙な歯ごたえ、大地の芳醇な旨味を凝縮したじゃがいも、塩味の利いた濃厚なチーズ。間違いなくこの旅で一番のグルメだった。というか、おそらくラテンアメリカに来て以来で換算してもかなりの上位だ。そしてウマいウマいとあっという間に平らげ、食後のムニャティーを味わっていると、娘のアルバが目の前の床におもむろにニット帽やセーター、装飾品といったものを並べ始めた。

 

アマンタニ島 (15)

<島の伝統的なニット帽>

 さすがにこうして至近距離で年端もいかない子供に物売りをされると僕のちっぽけな良心もいたたまれなくはないが、僕はやはり、こういうプロダクト(お土産品)は値段に関係なく自分の感性に多少なりとも響く物でないと買わないことにしている。さもないと自分の審美眼が鈍ると思っているのだ。だから心を鬼にして、冷やかに「ノーグラシアス」を宣告した。のちに合流した時に他のツーリストを見てみるとみな嬉しそうにアルパカや民族的な柄のニット帽やセーターを身にまとっていた。

 

アマンタニ島 (16)

 

アマンタニ島 (18)

 

 

アマンタニ島 (19) 

 

アマンタニ島 (20)

  

アマンタニ島 (21)

 食後はツアーのメンバーと合流し、ガイドのエミリオに率いられて島の頂上の寺院を目指した。山頂へ向かう道中は石垣積みの段々畑の美しい風景が広がっている。主に先ほど食したじゃがいも・どうもろこし・キヌアといった穀物が生産されている。

 

アマンタニ島 (22)

 

アマンタニ島 (23) 

 

アマンタニ島 (24)

  

 

 

 

アマンタニ島 (25)

 道ですれ違う現地の人々は大きな風呂敷におそらく畑の収穫物や衣料品をつめこみ、額にしわを寄せながら厳しい表情で黙々と歩いてゆく。それも心なしかほとんどが女の人だ。息を切らしながら、石積みの門をいくつかくぐり抜け、頂の寺院に辿り着いた。しかしそこにあった寺院とは、ほとんど建物の体をなしていない石積みの壁だけで、何だか拍子抜けしてしまった。だがそこから見えるチチカカ湖の眺めは素晴らしく、ちょうど普段より3,800m近くにある太陽が湖に吸い込まれる美しい瞬間だった。きっと昔の人々はこの景色を神に献上する代わりに大地の恩恵を願ったのだろうな、ということが容易に想像できた。

 

アマンタニ島 (26)

  <アマンタニ島全景> 

アマンタニ島 (27)

  

アマンタニ島 (28)

アマンタニ島 (29)

  

 

アマンタニ島 (30)

  

アマンタニ島 (31)

 

 

アマンタニ島 (32)

アマンタニ島 (33)

 

 日が完全に暮れる前に家に戻り夕食をいただく。夕食もまたすばらしく質素で、すばらしく上質なものであった。そして夕食は一家の主、すなわちブランカの夫と共にした。失礼ながら彼の名を忘れてしまったので、ここでは便宜上エステバンとしておく。エステバンに島についていくつか聞いてみた。この島が本格的に観光地化されたのは5年前だそうで、かなり最近になってからだ。どおりで人々は謙虚で素朴で、観光地ズレしていない。観光客の受け入れは偏りがないように家ごとにローテーションで回しているらしい。(でもきっとこういうのは牛耳っている旅行エージェントが搾取しているのだろう。そういう意味ではさっきニット帽を素直に買っても良かったのだ。)エステバン自身はやはり農業従事者でひと山越えた所に畑を持っている。そして毎朝4時に畑に出勤することになっているらしい。だから僕はもうこれで失礼するよ、と優しい味のするスープをかきこんで、握手を交わした。ゴツゴツとした、深いしわが刻まれた、厳しさと優しさが同居している男の手の感触だった。

 

アマンタニ島 (34)

アマンタニ島 (36)

 そして実は食後にもうひとイベント待ち構えているのだ。それが島の住民とツーリストによるフォークダンス大会なのだ(もちろんツーリスト向けの催し)。まずはブランカの家で民族的な装いに着替える。男はポンチョに羊毛のニット帽、女は伝統的な刺繍が入った白いブラウスと緑や黒のスカートを帯のようなもので固定する。娘のアルバの案内で少し登った所にある村の集会所へ。他の欧米人のツーリストも同じようにめかしつけられ、なかなか滑稽な眺めだ。やがて地元の音楽隊が笛やバンジョーや見慣れない打楽器をかき鳴らし宴は幕を切る。このフォークダンスは隣人と手をつなぎ輪を作り、ぐるぐると回りながらステップを刻むという、ごくスタンダードなものなのだが、これが実は結構過酷なものなのだ。

アマンタニ島 (35)

アマンタニ島 (37)

 とういうのも、はじめはのほほんとしたペースで輪は回り始めるのだが、次第に音楽もペースアップし、どんどん回転のスピードは増していき、やがて全速力で輪は回り始める。主に現地民主体で。そしてここは標高3,800m。現地民は皆ケラケラ笑っているが、ツーリストたちは皆肩で息をしている。一体これは500年の時を越えた大航海時代への復讐なのだろうか。こうした思い出深い宴もたけなわになったところで集会所を後にし、再びアルバの案内の元、月夜に照らされた家路に着く。

 

アマンタニ島 (38)

<朝食>

 夜中にトタンの屋根を打つ激しい雨音で少し目を覚ましたが、朝にはすっかりあがっていた。目覚めてすぐはこのひやりとした薄い空気に体は馴染んでいない。揚げたてのパンと暖かいムニャの茶を飲んでいると次第に意識がはっきりとしてくるのが分かる。そして島とツーリズムについて少し考える。

アマンタニ島 (41)

 結果から言えば今回のチチカカ湖の一連の島体験で一番印象に残ったのはここアマンタニ島だ。もちろん宿泊したというのが大きかったのもあるが、食事といい、風景といい、文化体験といい、現地のちょうどいいところまで踏み込めている。もちろん我々が「お客さん」であることには変わりないのだが、それでも旅行者にとってもこの距離感はちょうど良かった。そしてこのアイマラ族特有の人見知り感と優しさが心地良かった。最後にブランカとアルバと欧米的に少しよそよそしいハグを交わし船に乗り込んだ。さて、次はこのツアー最後の島へ。アマンタニ島にアディオス、タキーレ島へバモス。 

 

アマンタニ島 (39)

アマンタニはあなたを美しい風景で受け入れたい

 foto : yuji harada


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