環境測定
昨年の夏、現場で過ごす最後の夏、などと言って多少感傷的になったりしていたのも今は昔。結局最後の夏+1も終わってしまいました。まだ細々と現場は続行しています。
「竣工しているはず」「オープニングセレモニーの写真をたしかに見た」などという声が聞こえてきそうですが、基本的にはそのとおりです。行政手続上の竣工届は提出済みであるものの依然として修正・追加工事が残っており、それらをゆっくりゆっくりやっていくのが台湾流。竣工検査も始まっており、こちらも半年以上かけて行うというまったくの長期戦なのです。
さて、そんななか、合間を縫って行ったのが写真の空調環境測定。
台中国立オペラハウスは各部屋の空間ボリュームにも非常に大きな差があるうえに、空調機置場や配管ルートを確保するにも一苦労。全館を見渡すとじつにバリエーションに富んだ空調方式を採用しています。なかでも特徴的なのは1Fのロビー空間。床下に冷水管を通して冷やす輻射冷房を行っています。このシステム自体、けっして目新しいものではありませんが、台湾ではほとんど前例がないことや、湿度が非常に高いため吹出し空調を併用している点などから、理想に近い状態で動くことを確認をしておく必要がありました。結果は概ね良好。新たに問題が発覚したところもありましたが、それはそれとして、全般にわたり理想的な数値が出たことでほっと胸をなでおろしている次第です。
ところで、面白かったのが計測員の顔ぶれ。空調サブコンが外注するとは耳にしていたものの、まさかここまで近所のお母さん感満点だとは(笑)。じつはこのパターン、前にも何度か経験をしていおり、さすがにとびの代わりはしないものの、メッシュ方枠の付け外しやバイブレーターをかける仕事などはけっこうお母さんたちがやっていたりしていました。
台湾でも建築業の労働力確保難は深刻な問題となっており、若い人の肉体労働離れもよく耳にします。台湾では「師傅」といいますが、職人が尊敬のまなざしをもってみられる土壌が徐々に失われつつあるのかもしれません。私たちは、建築をつくることは面白いんだ、ということをもっともっとアピールしていく必要がありそうです。