<YAP 06 “Your Refletion”_Guillermo Hevia García + Nicolás Urzúa Soler >
3月に入り、サンチアゴも夏のふわふわとしたバカンスの空気に終焉を告げ、都市のあわただしさを徐々に取り戻してきた。そして毎年この時期にチリの建築業界で話題になるのがYAPパビリオンである。
このYAPパビリオンとはYoung Architects Programの略称で、毎年この時期に行われるチリの若手建築家のためのパビリオンのプロジェクトだ。主宰者はニューヨーク近代美術館(MOMA及びP.S.1)で彼らはYoung Architects Program International という名目で、ここサンチアゴだけでなくニューヨーク、イスタンブール、ローマ、ソウルという世界各地で同様のプロジェクトを行っている。
ここサンチアゴは今年で6回目を迎えるが、これらは毎年コンペ形式で設計者が選ばれ、チリ若手建築家の登竜門と見なされることも多い。今年はギジェルモ・エヴィアとニコラス・ウルスア(Guillermo Hevia García + Nicolás Urzúa Soler)のチリ・カトリック大学出身の若手建築家のコンビの案が選ばれ、先日そのオープニングが催された。以下は過去5回のプロジェクト。
<YAP 06 “Your Refletion”_Guillermo Hevia García + Nicolás Urzúa Soler >
今年のパビリオンは” Tu Reflexión = Your Reflection”と題されたもので、設計者によればそれは「パーソナルな像の反射によって存在しないはずの風景を生み出すことを楽しむプロジェクト」とのこと。高さ4mほどの湾曲したアルミのパネルが歪んだ虚像を作り出し、それを恣意的に仕立て上げられたささやかな田園風景にねじ込んでいる。個人的にはもう少し背を高くして周囲のアンデス山脈まで風景に参加させることが出来れば、よりチリらしさ(サンチアゴらしさ)を演出できたになと惜しんだが、それは大きなお世話だ。夕焼けに赤く燃えるアンデスはサンチアゴで見ておくべき風景の一つだ。
しかし僕の関心事は自分のねじれた像なんかよりも他にあって、それは毎年このオープニングの時に来年の設計者選定コンペの5人の候補者が発表されるということだ。僕は友人に誘われ共同で参加することを決め、バカンス前に必要な書類を提出していた。そして設計者のスピーチと主宰者のMOMAの人間やチリの文化大臣の形式的な挨拶の後にそれは発表された。
” Diego Rossel ”
” Sebastián Cruz + Cristóbal Riffo ”
” República Portátil ”
” Pedro Pablo Contrucci y Carlos Sfeir ”
そして
” Torres + Reutter + Harada + Straub ”
残った。
外国らしくメンバーとハグを交わす。
Torres (スペイン系)+ Reutter(ドイツ系) + Harada(日系) + Straub(フランス系)
悪くない並びだ。
さぁいよいよチリで痕跡を残せるか。