10月13日、仲俊治さんのインタビューに行ってきました。
場所は、仲さんのご厚意で、千葉県木更津市にある「上総喜望の郷 おむかいさん」(新建築201601)にて。
仲さんの設計・ 監理で昨年の8月に竣工したばかりの知的障害者支援施設・入所です。
ちょっとした旅気分で現地に到着。
豊かな緑の中を少し奥に進んでいくと、小さな屋根の群れが見えてきます。
そこで出迎えていただいたのは、仲さんと「おむかいさん」で所長をしている中村敏久さん。
中村さんは明るく真摯で情熱的な方でした。
ありがたいことに、現地で建築のつくられ方とその使われ方について伺える、またとない機会をつくっていただけました。
早速、お二人に「おむかいさん」の案内をしていただきました。
あいにくの天候で外はパラパラと雨が降っていましたが、館内に入ってみると驚くほど明るい。
外を見ると、屋根が囲んだ庭とその周りにある森がつながり、小さな身体スケールの屋根の下に大きな体験がありました。
前にも来たことがあると思えるようなあたたかい空間で、いわゆる知的障がい者施設と聞いてイメージするものとは全く異なりました。
施設内をぐるりと一周しながら、傘ユニットや諸室の使われ方、家具、設備など、建築の話から障がい者施設独自の難しさまで多岐にわたる詳細な解説をしていただきました。
中でも特にその難しさをわかりやすく物語っていたのは、リビングの中央に位置するキッチンです。
冷蔵庫を隠すために家具が設けられていました。そのまま裸で冷蔵庫を置くと、スタッフ不在時に入居者さんが中のものを全部食べてしまったり、調味料を飲んでしまったり、思わぬ事故につながることがあるそうです。
このあたたかな空間の中に、あらゆるトラブルに対する想定と対策があることに言われるまで気づくことができませんでした。また、そのようなリスクを抱えながらも、管理者の都合でつくられた施設的な大食堂ではなく、家のリビングダイニングのような居場所があることに、強いこだわりとこれからの施設づくりへの優しい野望を感じました。
インタビューが経過するにつれて、仲さんと中村さんの間に信頼を超えた成熟した関係性があることに気づきました。上手く言葉で伝えることができないのが惜しいですが、その場にいたユニサポメンバーはすぐに共感できました。恐らく、その関係性なしに「おむかいさん」は成り立たなかったのだろうと思います。そしてそれが建築空間にそのまま投影されていたことにインタビューを終えた後に気づきました。寸法と材料だけではつくり出せないような不思議な立体感を身をもって味わうことができたインタビューでした。
仲さんインタビュー本編は現在編集中です。
もちろん、「おむかいさん」の話だけでなく、大学時代から山本理顕設計 工場時代の話など、仲さんと仲さんの建築にまつわる様々な興味深い話を聞かせていただきました。密度のあるインタビュー記事になると思います。
どうぞお楽しみに!
仲さん、中村さん、「おむかいさん」のスタッフの皆様、貴重な時間をありがとうございました。
Y-GSA M1 尾崎純一
インタビュー学生メンバー: 草山美沙希(M2)、古野咲月(M2)、板谷優志(M2)、尾崎純一(M1)、金子摩耶(M1)、塚本安優実(B4)
写真:塚本安優実