《卒制2021》インタビュー14_松本由香×河端昌也


《卒制2021》インタビュー第14回は、構造系の松本由香先生と河端昌也先生です。

主に松本先生には、構造解析の授業で、河端先生には建築材料の授業でご指導いただきました。

 

<中略>

 

学部の構造の勉強は言語を習得するのに近い

八木橋 & 永長:あまり構造を考えないということをおっしゃられていると思うんですが、例えば早稲田大学だったら構造設計までして卒業設計にしていく一方、横国はコンセプトなどを重視して考えるところがあって、構造が後付けになってきてしまうという点がある。このようなことについて思うことがあればお聞きしたい。

髙橋:やはり、実感として構造に対する受け止め方が学年全体としてどこか足枷のように感じている節があって、 もっとコンセプトを構造が成り立たせていくような創造 的な構造に対する向き合い方を見出せないままここまできてしまった。

松本:学部の構造の授業って、例えていうなら言語を学習する段階に近いところがあって。例えば、英語の学習 でも、まずは英語を勉強しないといけないから、話せるようにならなきゃいけないから、そこの修行から入って いく。だけどそれはなんのためにやるのかというと、英 語を使って他の国の母語が異なる人とコミュニケーショ ンを取りたい。で、英語を使って表現したいものがある からコミュニケーションをしようと思う。一番本質という か、構造で最終的に目指しているのはそこなんだよね。 だけど、その前段階、構造的言語を使ったコミュニケー ションができるようになるまでには、地道な勉強時間があって 。 英 語 でもまずはアルファベット全部覚えないといけない。基本的な構文ぐらいは理解しないといけない。その学習をしている段階でこれが構造だと思ってしまったら本質を見失うんじゃないか。逆に構造の学生に は勘違いするなって言いたいところもあって、英語の話でも英語で何か表現したいものがないのであれば英語を話す必要がないわけだよね。だから、構造という言語を使ってあなたは何がしたいんですか、何を提案した いですか、それができる人になって欲しい。構造的な言語が使えるようになりました、これで自分は立派な構造技術者ですって思ったらお前絶対勘違いしているって思 う ( 笑 )。お互いに、構造を目指す人にしても、構造ではない人に関しても、構造ってそういうものだって分かって欲しい 。 卒業設計でそれが一つのきっかけとなって、構造の人たちはこういうところを目指しているんだって理 解してもらえるんだったら、こちらとしても本当にありがたい。こういう形として話を聞きにきてもらえるっていうのは凄くありがたい。こういう人たちが同期の仲間にいてくれるっていうのは構造専門の学生にとっても良い事。

河端:この質問に来てくれた学生は小学校を作りたい、 その時にできるだけ内と外の境目がないような空間を作る。

松本:エスキスのかなり早い段階で相談しにきてくれ る人は毎年何人かいるんですけど、今年は状況が状況 だったのでアプローチしにくい部分もあったと思う。そ れで、「こういう計画なんですけどここの部材断面どれく
ら い 細 くで き ま す か?」 絶 対 そ う い う 聞 き 方 す る ん だ よ ね。だけど、そもそもこの構造はあなたのコンセプトに あってないよ、と。わざわざ不自然な力の流し方をして いて、こういう計画にすればここの柱断面もっと細くで きるのに。なんだったら、いらないのに。そこの段階か ら構造には助けてもらえるんだという認識がほとんどな いんじゃないか。これは 2,3 年前だったと思うんだけど、 学校施設の計画を考えている人で、建物の内と外を明 快な境界があるようにするのではなくて、周りの人が自 由に入っていけるようなコンセプトだった。で、そういう コンセプトの中での体育館、隣の擁壁の上まで屋根を 差し出したいけど、擁壁の上で反力取れますか、と。一 般的な体育館というと、山形ラーメンやアーチが並んで いて、それを横につなぐ。( 下記の写真 ) こういうものだ と、外側にしっかりとしたフレームが構成される。でも、 全然違う考え方として、建物の内側にすごくしっかりした 背骨のような梁を作ってしまって、背骨からあばら骨を 差し出す。で、こちらの方がメインになるから外側の柱 は軽くできる。こういう構成の仕方があるから、君のコンセプトだったらこっちの方が合うよ、と。外側の柱で反力取れるんでしょうかということを聞いてきたんで、ここが不安だったらいっそ内側で支える方がいいよ、という話をしたことがある。こういうコンセプトで構成したいのであれば、それを一番実現しやすい構造が必ずある。 そこの段階で相談しにきてくれればもっと凄く自然なんだけどやりたい事ができるのに。と後付けながら思う。

松本:校舎の中としてもそうだし、学校の外としてもみんなが入ってこれるような。例えば、体育館の屋根なんかも、法的な問題はあるにしても、敷地の外まで張り出して作りたい。それで屋根を擁壁の上のところで支えないといけないけど大丈夫ですか、と聞いてきた。でも、 彼のコンセプトならそもそもここで支えなければ良いわけで、それは根本的に作戦を変えた方がいいよ。そういうのは実は多い。

河端:彼は英語を使ってこういう事を表現したいけど、 聞いてきた事は文法的な事でそれは正しいのかという事 だった ( 笑 )

松本:ここは is ですか are ですかみたいな(笑)

河端:あなたのやりたいことはこれでしょっていうような 一気に肩を軽くしてくれるようなことが、構造が協力する ことによって実現できると良いですよね。

本文はこちら→14_松本由香×河端昌也


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