イギリスから考える都市の鍼治療


1.イギリスでの不動産事情

 

1-1.イギリスで働く建築家との出会い

お世話になる先生からの紹介により、

イギリスで設計事務所に20年以上勤める方とお話しをしました。

その際に、書き留めたことをまとめていきたいと思います。

 

イギリス(主にロンドン)で、不動産の価値は下がりにくいそう。

これは、そもそも構造体が石造やレンガなど劣化しにくい素材で作られており

構造的に耐久性が下がりにくいことが要因のひとつだそう。

 

1-2.ブループラーク

しかし、物件での価値が急激に増えるある印があるらしい。

 

ブそれは、ブループラークという印で

芸能人や有名人がその部屋に住んでいたという印だそう。

 

これを踏まえて、日本の空き家問題について話を展開してみた。

日本では、不動産の価値が建築年数によって変化することは一般的である。

 

空き家が溢れているけれど、

そもそも売るのに手間があり放置されているものがいまだに多い。

 

これの要因は、不動産の価値が付随していると感じた。

所有者は、「売ったところでお金にならないし…」と思い

改修はおろか売りにすら出せず放置のサイクルになってしまうのではないか。

 

2.都市の鍼治療とは?

 

これからの時代に建築に求められてくることは、

この問題の解が見出せたらいいと感じる。

 

それの一つのヒントに都市の鍼治療という言葉がある。

 

「アーバンデザインに伝統的な中国医学理論である針治療の考え方を兼ね備えた都市環境学である。」

参考文献:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%81%AE%E9%8D%BC%E6%B2%BB%E7%99%82

 

と定義される。

 

参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Urban_acupuncture

 

この戦略は、

一般的な鍼治療が身体の全体を癒すように、

局所的に手を加えることで広範囲の都市状況を再び構成すること。

 

都市を有機的な生物と捉え直すことで、

治療が必要な生態系や場所を見つけていくことができる。

 

そして、

その場所に施した、持続可能なプロジェクトは都市全体の活性化を促す針になる。

 

 

3.日本で治療する

それを踏まえて、今の日本ではどんな地域に治療が必要だろうか?

場所で言うと、団塊世代の親の家がたくさん残る団地、

水害地域での土木工事が進み生態系が失われた場所などたくさん見つけられる。

 

僕は、栃木県小山市の水害地域を対象に卒業設計をしていた。

ここではどのような治療が必要かを改めて考えてみる。

 

3-1.Local knowledgeの再編

手がかりになるのは、地域の知恵や工夫を再編することだと考える。

 

 

実際にこの地域には、江戸時代から

「みずまて」という水害への知恵や工夫が受け継がれてきた。

 

水塚:水位が上昇しても、避難ができる拠点を作るために土盛をする。

 

揚舟:水害時の避難手段に使うために屋根裏に舟を揚げている。

揚舟(あげぶね・あげふね) | 文化遺産 | わたらせ自然ミュージアム

 

 

参考文献:https://www.watarase-museum.net/heritage/chisui/

https://www.watarase-museum.net/heritage/chisui/agefune/

 

3-2.野蛮ギャルド

しかし、現代人口増加に伴い、

水害地域でも人が多く住んでおり被害が毎年のように出ている。

 

これは、水害地域地域住民の話や警告に耳を傾けないことで起きてしまうことだと思う。

「災害が起きる土地に住むこと」

その問題を解決する手がかりに野蛮ギャルドがあると考える。

 

野蛮ギャルドは、藤森照信氏が目指す

「自然素材をいかに駆使するか」という問題に対し、「工業技術に自然素材を包む」という

設計手法である。

 

例えば、植物を植えている屋根の裏側に、

防水機能を持った高性能の金属板を用いるなどといったものである。

 

これは単に先端技術を否定せず、土着的な建築を目指している。

 

3-3.CLT

これらをもとに、

僕はCLTという先端技術を用いて、みずまての再編をしたいと考える。

 

そうすることで、

災害地域での鍼治療をすることができないか考えている。

 

まだまだ、解像度は鮮明ではないが

このレポートを通して深めて行けたらいいと思っている。


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