
都市のキャンバスとしてのみなとみらい
横浜美術館が1989年に建設されてから既に20年が経過した。埋め立て、土地区画など様々な事業を組み合わせた一大開発であるが、みなとみらいの整備が進み、アートを取り巻く経済状況も変化した現在、そのあり方についてハード・ソフト面ともに考え直す時期に来ている。
私はここに30m×30mの建築面積をもつ100mの高層美術館を提案する。高層化し、空いた地上部分はみなとみらいに不足している緑地公園として開放する。美術館を高層化する良さについては主に以下の3点が考えられる。
1)みなとみらいの公共性のポテンシャルは垂直方向にある。垂直方向に移動することで様々な風景を体験することができる。
2)横浜全体に広がった美術の拠点を分かりやすくネットワークする目印となる。
3)これまでにない高さをもった展示空間を可能とする。
みなとみらいという街がもつ特徴は建物の「高層化」にある。その高さが、基準階の積層ではなく、もっと豊に表れるかたちがないかと考えた。結果として、様々な高さと環境をもった空間が組み合わさってひとつの大きなボリュームを形成する構成をとっている。こうすることで、これまでにない垂直方向につながってゆく展示体験が表れる。また、塔の外壁面を長く広く使うことによって、ある一定の距離離れることで分かるようなアートを展示することも可能である。(例:桜木町駅からみて解像度が丁度よくなる映像作品)みなとみらいの高層建築の壁面が同系色であることを利用し、都市空間をギャラリー化しようと考えた。
建築の構成としては、10本の様々な大きさの塔にスラブが絡むかたちをとる。塔は地上に近い部分ではひとつにまとまっており、上層部にいくに従って、細かく枝分かれし、最終的に10に分かれる。逆さまのくらげのような形状である。塔ごとにセキュリティ管理ができるため、展覧会の規模によって美術館の大きさを伸び縮みさせることができ、また、階によって様々なバッファーゾーンの使い方ができる。
みなとみらい特有の風景を都市のキャンバスと見立て、日々変化をし、街に緊張感と彩りを与える新・横浜美術館を目指した。
