2013年あけましておめでとうございます(2012秋学期の総括)


 

あけましておめでとうございます。まったくブログが更新できないまま、年が明けてしまいましたが、事務所も大学も無事に2012年を乗り切ることが出来ました。本年もよろしくお願いします。

 

学期が終わったところで前回触れた秋学期の3年生の都市計画の設計を振り返ってみました。この設計課題は10,000平米の敷地にディテールプラン(DETAIL PLAN)のエスキースをつくるのが目標。今回の課題には3年生が2人から3人程度のチームになり取り組みました。

 

ディテールプランとは、敷地やエリアに対して、用途規制とボリューム規制、そしてインフラのラインとの接続場所、建物のエントランスの場所、駐車台数まで含んだ、包括的な計画です。エストニアのディテールプランの考え方はデンマークから持ち込まれたと聞いています。

 

さて、建築のスケールとディテールプランのスケールの混同から、最後まであまりうまくいかなかったチームもあり、この点については私自身の来年度への課題であります。

やはり難しかった点としては、

1.敷地の中心に位置する文化財保護の対象になっている倉庫をどう生かすか、新しいボリュームとどう折り合いをつけるのか

2.2階から3階建ての木造住宅が並ぶ既存のエリアとの兼ね合い

2.三角形の敷地形状

3.敷地から北側の海岸線へのアプローチをどう取り込むか

4.アパート等の居住空間としては北側に開ける海側を取り込みたいが、最近義務化された一日3時間の日射を確保しなければいけないというタリンの典型的なジレンマ

評価が高かった2つのチームの作品を紹介したいと思います。

 

チーム1

メインのプログラムはアパート、角の高いボリュームはオフィスと商業。

巧みなボリューム操作で、住人のための中庭と近所の人たちのための通りぬけを実現。学期中の着実なディベロップメントも評価された。課題としては、1)通り抜けをいかに心地のよいものに発展させるのか、2)既存の倉庫との位置関係と地下駐車場へのアクセス。

 

 

 

 

 

 

 

チーム2

プログラムは、アート関係の学校、図書館、ゲストハウス。

幼稚になりがちな傾斜屋根のマッスをうまく使って楽しい都市空間を創造できた。海岸へ向けてのアプローチまで提案している。残念なのは敷地の両端にあるボリュームのファンクションと形態操作において消化仕切れなかったこと、そしてペーブメントの材料と配置がいまひとつしっくり来ていないこと。

 

 

 

 

 

 

普段、コンペの際等にあらかじめ処方箋のように与えられるディテールプランニング。一度行政が認可してしまうと、法的な拘束が生まれてしまいます。その場所のポテンシャルを踏ず、建築的提案をサポートする計画上の寛容さを持ち合わせずに線が引かれていれば、実のない都市的提案になってしまい、建築的提案でリカバーできないことになってしまう。そんなディテールプランニングの難しさを考えさせられました。

来秋にはまたこの設計の担当が回ってきます。自分自身の反省を踏まえて、よりよいコースにせねばと考えています。他人をモティベートさせ、自分が手を動かさずに、考え方の方向を指し示すというのは、大変な技術ですね。

最後に、重ねて本年もよろしくお願いします。

 

 


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